中村です。

トレタは、予約管理を行う「予約台帳」のサービスとしてスタートしました。グルメサイト(=集客や送客)はやらずに、「予約の管理」に特化してサービスを開発しています。なぜなら、予約の管理強化は今後の飲食業界において不可欠だと思うから。でも、創業からこれまで、いろんな投資家の方や入社希望の方、パートナーの方ともお話ししてきましたが、予約台帳の重要性に対してかなりの温度差を感じるわけです。
考えてみたら、外から見えている風景は、実は現場の実感とはかなり乖離があるのではないかと。なので、そろそろ「現場」にとってのネット予約の現状と、トレタの目指す世界についてまとめておきたいと思います。
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■ これまでのネット予約
ぐるなび、食べログ、ホットペッパー……
大手のグルメサイトでは、すでに各社ともネット予約に積極的に取り組んでいます。食べログさんは2014年12月に「ネット予約サービスの参加店が10,000店舗を突破」 、ぐるなびさんは2014年2月に「WEB予約サービス年間予約人数500万人を突破」とそれぞれ発表しています。それだけを見てみれば、「いよいよ飲食店もネット予約できる時代が来そうだね!」という話になるのですが、どっこい、現実はそう単純ではありません。
確かに、「グルメサイトからそのままお店を予約できたらいいのに!」というお客さまの声はとても多いですし、僕自身も利用者の立場では強くそう思っているのですが、現場の立場からしたら「ネット予約がこれ以上ふえたら、現場はもう破綻するしかない」という、全く逆の結論にしかたどり着けないんです。

なぜか。

それは、ネット予約では現場の手間が半端なくかかるからなんですね。
具体的にどんな手間がかかるかというと…
  1. グルメサイトの設定画面を開いて「予約可能日時」や「予約可能人数」などを、受け付けるテーブルの分だけそれぞれ登録します。複数のグルメサイト(A/B/C)から予約を受ける場合は、同じ設定を各サイトそれぞれに行います。
  2. グルメサイト「A」から予約が入ったら、その予約を紙の台帳に転記します
  3. BとCの予約可能テーブルの消し込みを行います
飲食店は、グルメサイトから予約が入る度に、都度この作業を行っています。
しかもこの作業、グルメサイトからの予約だけがトリガーになるわけではありません。たとえば電話予約で満席になってしまったら、そのときも忘れずにグルメサイトA/B/Cをすべて開いて、予約受付を止めるという作業が必要なんですね。

この作業には、電話受付と比べると実に数倍の時間がかかります。
そして万が一この作業に抜け漏れが発生したら、即座に「オーバーブッキング」が発生することになります。いわゆる「予約事故」です。

まだすぐに気づけば、お客さまに連絡して「すみません、先ほどお受けしたご予約ですが、こちらの手違いで満席となっておりました。申し訳ございません」と平謝りすればどうにかなりますが、たいてい、こういう間違いは当日お客さま来店されてから気づくものでして。

お客さまが来店して
「いらっしゃいませ!」
「予約した吉田です」
「(え?あれ?そんな予約ないぞ…)すみません、ご予約が見当たらないのですが…」
「いや、そんなことはない。グルメサイトAで予約したはずだ!」
「あっ…… お客さま、申し訳ありません…こちらの手違いで予約が入っていなかったようなのですが、本日はすでに満席となっておりまして…」
となるわけです。

こんなことが起きたら、もう二度と吉田さんはそのお店には戻ってきてくれません。こうして、一人のお客さまを永遠に失うという最悪の事態となるわけです。
もちろん、これを経験してしまったら、お店だって怖くてネット予約になんて積極的に取り組めなくなります。
結果として、ユーザーにとっては「ネット予約は信用できない」、お店はお店で「ネット予約は手間とリスクが大きすぎる」となって、ネット予約はいつまでたっても普及しないというネガティブな循環が続いてしまうのですね。


■ 諸悪の根源は「紙での管理」にある
結局のところ、こんな風に手間がかかり予約事故がいつ起きてもおかしくないような状態が続いている原因を突き止めていくと「紙での予約管理とネット予約の受付管理が二元管理になっている」ことに行き当たります。
 
お店が紙の予約台帳を使っている限り、ネット予約と紙台帳の手作業による同期作業は不可欠になりますし、「今から10人で行けるお店はどこ?」という検索ニーズにも永遠に応えることはできません。
 
もちろん、それに対してさまざまな対策が登場しています。
たとえば、コンシェルジュ的に中間に人が介在して、電話でお店の空き確認を代行してくれるようなサービス。あるいは、力業のスクレイピングによって無理矢理グルメサイトの予約可能テーブルの管理をしようというツールを作っている会社もあります。ウェブ予約に新しい予約が入ったら、それを電話で通知するようなサービスもありますね。

でも、どんな方法を使っても、完全なリアルタイム性や完全性が担保されるわけじゃありません。ウェブサイトの構造だって日常的にどんどん改善されていますから、さっきまで問題なく動いたスクレイピングが突然コケることだってあります。今この瞬間には空きはあるかもしれないけれど、1分後には電話で予約が入って埋まってしまうかもしれないというのが「予約」です。
特に年末の繁忙期なんて、どこのお店でも数秒の違いで予約が取れたり取れなかったりしますし、ウチのユーザーさまでもある「俺の」シリーズさんなんて、それが日常的に起きているわけです。
中途半端な仕組みを使って、万が一大規模な予約事故が発生したら。それこそ、お店の信用に関わる大問題になりかねません。
 
そういうクリティカルな要求にもきちんと答えられる仕組みを実現するには、とにかく予約情報をすべてローカルの紙からクラウドに移行してもらって、完全な一元管理を実現するしかないんですよね。
紙の台帳を使っている限り、どんな仕組みを作っても問題の根本的解決にはならないのです。

だから、トレタはその根本的な問題を解決するために「紙の台帳をクラウドに切り替えてもらう」ことを目指しているというわけです。
もちろん、タブレットが紙と競争して、使い勝手や操作性で勝つのは相当に難しいことではあります。が、そこをUIの力で乗り越えることができるなら、理想のネット予約を実現する突破口が開けるはずなんですよね。

トレタが「デザインの会社」を標榜し徹底してUIにこだわり、「集客」や「お店探し」には目もくれずに台帳のブラッシュアップにすべてのリソースを注いできたのは、紙の台帳に十二分に勝てるクラウドの台帳を実現して、予約データをすべてクラウドに移行してもらうための大事な大事な「はじめの一歩」なのです。


■ クラウドの台帳が普及すると、ネット予約は飲食店の福音に変わる
そしてもし仮に、飲食店の予約情報がクラウドに完全移行して、そこにネット予約が直結するようになると、飲食店にとってのネット予約の価値や可能性はまさに逆転することになります。

オーバーブッキングやダブルブッキングのリスクをゼロにしながら、24時間365日体制で予約を受けることができるだけでなく、電話で予約を受けつけていた手間を完全にゼロにできる。つまり、「電話より手間のかかっていたネット予約」が「電話よりも手間がかからなくて事故も起きないネット予約」に180°変わるのです。
これが普及したら、店長は営業中に電話番をして予約受付に張り付く必要もなくなり、より現場のサービスを強化することだって可能になります。
お客さまにしても、言った言わないのトラブルがあって、受付時間にも制約のある電話予約より、ネット予約の方が便利に決まっています。
 
予約台帳をクラウドに置くことによって、お客さまもお店もハッピーになれる「ネット予約」が、初めて実現可能になるというわけです。


■ いろんな予約サービスと連携していきます
トレタの台帳が普及することは、単に飲食店のためではなく、そこを利用するお客さまの利便性にも大きく寄与することになります。
そして、ネット予約の普及のためには、メディア側の「面」の充実だけでなく、裏側の「予約管理」が同じように改善していかなければならないことがおわかりいただけたでしょうか。

僕らが目指しているのは、理想の「ネット予約」を実現するための土台を作ることです。中途半端な解決策ではなく根本から問題を解決し、飲食店もお客さまもハッピーになれる世界を作ることです。もちろん、僕らだけでネット予約の世界を完成させることはできませんから、さまざまな集客媒体のみなさんにも、僕らのデータをうまく活用してもらいたいと思っています。
トレタに集まるデータは飲食店にとって極めて大切な情報です。だからこそ、それをお店とお客さまに役立つように最大限活用できる環境を作っていくのも、僕らの大切な責務です。
 
トレタでは予約の空き状況をリアルタイムに確認できるAPIも用意していますし、実際、それを使った連携も少しずつ進み始めています。連携が実現したら、お店にとってもお客さまにとっても画期的な予約ソリューションがご提供できるものと思います。

それをご紹介できる日を、ぜひ楽しみにお待ちいただければ幸いです。