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代表の中村です。

仕事柄、繁盛している飲食店の経営者の方のお話をお聞きする機会がとても多くなっています。
そして改めて、繁盛店経営者の皆さんにはいくつかの共通する特徴があると思いましたので、ちょっとまとめてみたいと思います。

そもそも、飲食業界は成熟産業の最たるものであり、競争が非常に激しい業界です。市場の成長は全く止まっているどころか縮小が続いている業界ですから、生き残るだけでも大変。ヒット業態を出してもすぐにパクった店がぞろぞろ出てきて、あっという間に埋没させられてしまいます。
また、そもそも長年ほとんど革新的なイノベーションの起きていない業界ですから、成功のためのノウハウも出尽くしています。本屋に並ぶ飲食店開業マニュアルを読んでも、そんなレベルの知識なら誰もが持っていて、差別化なんてなりはしません。
そんな業界でも、継続して突出した人気を得ているお店というのは、やはりそれなりの理由があるんですよね。


1)とにかくひたすら考えている
みなさん、当たり前かもしれませんが、とにかく徹底して考え抜いています。「経営者だったら誰だって考えてるよ」って思うかもしれませんが、いや、そういうレベルじゃありません。
まず思うのは、みんな考えることが大好きな人たちなんですよね。考えることが苦じゃなくてむしろ楽しい人たち。とにかく常に考え続けている。
考えるというのは、正攻法で真っ正面から考えても限界があります。そういう人たちは、正面から考え抜いた後、それでは飽き足らず逆向きから考えたり、全く違う観点から考えたりしています。
 
たとえば、「お客様に満足してもらえる料理とは?」と考える人は多いと思いますが、ある経営者は「人が満腹になるには、どのくらいの量を食べたらいいんだろう」という疑問を持って、さらに科学的に実験して検証したりしているんですね。で、その量ぴったりになるようにコースの料理をグラム単位で調整する。こうすることで、コース料理を食べたときに、最後まで美味しく食べられて、なおかつ満腹感を得られるような設計が可能になるというわけです。
 
繁盛店経営者のみなさんに共通するのは、徹底して考え抜いて、そして「知恵を使う」ことです。考えに考え抜いたときに初めて見つけられる「気付き」とか「発想の転換」というのは間違いなくありまして、みなそういう「知恵」を武器に戦っていることが多いと感じています。


2)お客様との心理戦に長けている
考えるだけじゃありません。皆さんが必ずやっているのは、お客様の心理を徹底的に分析することです。
「お客様の立場になって考えろ」というのも仕事する上での常識中の常識ですが、でもこれって簡単そうでいて実は結構難しいことだったりします。
 
だいたい、人間はそう簡単には自分の立場を離れて考えられないんですよね。どうしても自分の視点や先入観が入ってしまって、純粋にお客様の立場になって考えられない人が大多数なのに対して、成功している経営者の皆さんはそれを見事にやってのけています。
それも、単にお客様の立場で感じたり考えたりするのではなく、「お店がどんなことをしたらお客様はどう感じるのか」ということを体系立てて分析したりするんですよね。
いわば、脳内で常にお客様との心理戦や駆け引きをシミュレーションしまくっている感じ。

ごくごく簡単な例だけ挙げると…
  • 普通の喫茶店ならテーブルまでコーヒーを持ってきてくれても別段感謝も感激もないわけですが、スタバで「お席まで持って行きますよ」って言ってもらえたら、ちょっと嬉しかったり。
  • クーポンで生ビールをもらっても嬉しくもなんともないですけれど、クーポンのないお店で「これ、よかったら僕からサービスなんで一杯どうぞ」ってこっそり出してもらうと感激したり。
  • 普通に制限時間なしでお店を利用できても当たり前ですが、予約時に「席は2時間制となっていますのでよろしくお願いします」と説明しておいて、でも当日「この後のお客様が急にキャンセルになったので、このままゆっくりしていただいて大丈夫ですよ」って言われたら、すごく嬉しくて追加注文しちゃったり。
同じサービスを提供するとしても、ちょっとした説明や提供方法を工夫するだけで、お客様にすごく喜んでもらえるようになるんですよね。こういう工夫をどれだけ丁寧に積み重ねられるかどうかが、とても大きな繁盛の差になって現れるんだろうと思います。


3)精神論に頼らない
飲食店は基本的に労働集約型の産業です。
となると、店舗運営はどうしても精神論に傾きがちです。
確かに、バックグラウンドも年齢も価値観もまちまちな数多くのスタッフを束ねて機能させていこうとしたとき、精神論が有効に機能する場面があるのも事実です。でも、それで手応えをつかんでしまうと、最初から最後まで全てを精神論で解決したくなったりします。
 
精神論って意外と有効で、精神論を徹底するだけで会社を上場レベルまで成長させたりすることも可能なくらい、うまく使うと効果があると思うのですが、ただそれだけに頼るとかなり危険なのも事実。
僕も精神論そのものは否定しませんが、でもあまりにそれに頼ってしまうと、職場がブラック化していく可能性だってあると思うんですよね。そうなれば優秀なスタッフが定着せず、採用しづらくなって、長い目で見れば自分で自分たちの首を絞めることになるわけです。
 
ただでさえ、飲食店の現場は手作業が多くてスタッフ個々人には常態的に多くの負荷がかかっています。そこに新しい企画やアイデアを持ち込もうとすれば、必ず現場の負荷は増えることになります。でも生き残るためには常に新しいことにチャレンジしなければいけない。そのとき経営者がどう考えるか。
「理想のお店を実現するには、みんな一人一人が踏ん張って力を発揮してくれることが大事なんだ。今は辛いかもしれないけれど頑張ろう」と、無茶を強いるのが普通の経営者だとすると、繁盛店の経営者の多くは違う方法を考える人たちだという印象を持っています。
ある人はそこで引き算をして「やらない仕事」を決めたり、仕事を仕組化することで作業を減らしたり、メニューを削ったりします。
 
ちょっとポジショントーク的になって恐縮ですが、トレタのような新しいツールを入れて、業務の効率化にトライするような経営者の方も、このタイプに入るのでしょうね。一定のリスクがあっても、劇的に業務を変える可能性があれば挑戦してみる、というか。
とにかく、精神論に頼らず、知恵や工夫やツールで強いお店を作ろうというのが、繁盛店経営者のみなさんに共通する傾向ではないかと思います。


4)割り切る知恵と勇気がある
接客業をやっていると、どうしてもお客様のいろいろな要望の全てに応えたくなります。
「ウチはお客様の要望に対して絶対にNOと言わない」というポリシーのお店は少なくありませんし、それはそれで店作りの方針として間違っていないと思います。
でもそれを「安易に」やると、当然お店側の負荷も増えるし、オペレーションは複雑化していきます。店舗オペレーションが複雑化することはコスト増に直結しますから、そのコストは最終的にお客様に跳ね返っていくか、あるいはお店の側がそれを頑張って飲み込むしかありません。そしてこの罠にはまって経営が苦しくなる経営者は少なくないと思います。(僕も昔苦労した経験があります)
 
一方で、繁盛店経営者のみなさんは、それの割り切り方が見事な方が多いと思うのですね。
例えばどういうことをやるかというと、そもそも来店する顧客層が限定されるような店作りを敢えて行ったりするわけです。
 
わかりやすい例を挙げれば、カップルしか来ないようなお店づくりをすれば、顧客層はカップルだけになりますから、「子供向けの料理が欲しい」とか「大人数でワイワイやりたい」とか「宴会コースを設定してくれ」みたいな要望はハナから排除できるようになります。
お店のスタッフも、とにかくカップルが喜んでくれるようなメニューや接客を磨けばよくなりますので、何をしたらいいかが明確でシンプルになります。
真正面からお客様の要望にNOと言うのも一つの方法ですし、あるいはこういう割り切りをすることで、お客様のありとあらゆる要望に応えていかなければいけない悪循環を断ち切ることもできるわけです。


5)欠点を潰すのではなく、欠点を魅力に変えることを考える
これは1の「考える」とか「知恵を使う」ことにも通じるのですが、世間の普通の経営者だと「欠点を探してそれを改善」しようとするところを、繁盛店経営者だと「欠点を魅力に変えてしまう」という発想の転換が上手な人が多いように思います。
 
たとえば、テーブル席が一杯でカウンター席しか空いていないとき。普通だと「申し訳ありません。テーブルが満席なので、カウンターでよろしいですか?テーブルが空きましたらそちらに移っていただけるようにしますので」とお詫びして案内しがちなのですが、それを「ウチの特等席のカウンターにご案内します。料理人が調理するところを見ながら、スタッフとの会話をお楽しみください」と案内したりするわけです。こういう発想の転換をして、カウンターを残念な席ではなく人気席に変えてしまうことができるのが、繁盛店経営者の見事なところなのだと思うのですね。


★★★

いかがでしょうか。
まだまだ書きたいことはあるのですが、今日はこのくらいで。(これからも多くの繁盛店の皆さんとお話しする機会があると思いますので、もっと知見が貯まったらまた共有していきます)

ともあれ、繁盛店の経営者のみなさんとお話しして感じる「強さ」は、表面的にお店をパクっても絶対に真似しきれないところにあるんだと思います。
そしてこの「パクれない根源的な強さ」は、トレタのようなアプリやサービスでも当てはまると思うのです。表面的にパクっても決して真似しきれない、徹底して考え抜かれた本質的な強さを、僕らも自分たちのサービスに込めていきたいと思っています。



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