代表の中村です。
今回、トレタではデータ解析ベンチャーのかっこ株式会社さんと業務提携を締結しまして、共同で予約データの解析および分析を行うこととなりました。
そのとっかかりとしていくつか簡単に調べてみたところあまりに面白い結果が出ており、僕自身興奮が止まりません。
そういうわけで、さっそく共有したいと思います。


■分析に取り組む背景
外食産業ほど「どんぶり勘定」や「勘」による経営が残っている業界も珍しいのではないでしょうか。理由は単純で、あまりに多くの作業が手作業のまま残されており、店舗の実態をデータとして取得し蓄積することができなかったからです。
一般的な飲食店では、今までできていたのはせいぜいが「POSデータの分析」ですが、結果として業界全体として「商品戦略」「メニュー戦略」などの知見は蓄積してきたものの、顧客の行動分析などは全く行えていないのが現実。
例えば、自店における新規顧客とリピーターさんの比率ってどのくらいか知っていますか?と聞いても、感覚値でしか答えられないのがほとんどでしょう。
アンケートなどを積極的に取る店舗もありますが、これにしたってどうしてもバイアスがかかります。僕ら飲食店の経営者が欲しいのは、「素の」店舗実態。そのためには、日々の業務をアナログからデジタルに移行させて、普段着の営業の実態を漏らさずデータ化していくしかないのですよね。

というわけでトレタです。業務に紙のメモを一切介在させることなく、「リアルタイムに」「全ての予約」を「正確に」タブレット/クラウドに入力してもらうことが可能になったのですから、その予約データはかなりの精度で「アテになる」はずです。
そこで、数多くの数学者を揃え、ビッグデータ解析に長けたかっこさんと共同で分析を試みることにしたわけです。
これは、飲食業界でかつて誰も見たことのないデータだと思います。


■「常連さま」づくりについて
常連さまづくりは、今やほとんどのお店の最大の関心事の一つでしょう。従来型の「クーポンによる新規顧客獲得」もそれなりに効果はあるものの、やはりお店の経営を安定化させ高い収益を上げていくためには、常連さまの獲得は不可欠です。
しかし、これまでの常連さま対策は、「勘」や「記憶力」に頼るところが少なくありませんでした。ありていに言えば、「お客様の顔を覚えろ!」という取り組みですね。とはいえ、人の記憶力には限界があります。すべてのお客様を正確に記憶するなんて絶対に不可能です。結果として、5回以上来店している「超」常連さんや、個性的で目立つお客様しか認識できず、大切な「隠れ常連さま」や「常連さま予備軍」を見逃してしまっているお店は少なくないはずです。
そこで今回は第一弾として、「常連さま」についての分析結果を共有します。データはすでにいろいろな形で解析を進めているのですが、その他の情報はまた次の機会に。


■分析の概要
今回の分析は、下記の要領で行いました。
  • 2014年10月1日〜2015年5月24日までにトレタに蓄積された約160万件の予約データを分析対象として、かっこさんが解析を行いました。
  • 個人情報は全て匿名化しており、個人名ではなくハッシュ化されたデータを用いて分析しています。
  • ただし、トレタの導入店さまは「予約業態」が主ですので、ファストフードやラーメン店、カフェのような予約を取らないカジュアル系の業態は含まれておりません。
  • また、トレタには繁盛店の導入店さまが多いという傾向がありますので、業界標準よりもリピート率は全体的に高い傾向にあると推測されます。

調べたのは二つ。まずは「そもそもお店に訪れるお客様はどのくらいが新規でどのくらいがリピートなのか」という実態。そしてそれを踏まえて、「新規さんはどのくらいが常連さんになっていくか」という傾向です。


■予約における新規顧客と既存顧客の比率
まずは予約における「新規」と「リピート」の比率です。

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すごいですね。なんと、9割が新規という結果が出ました。
もちろんこれは店舗によってかなりばらつきがあり、中にはリピーター率が6割を超えるような驚異的なお店もごく一部あるのですが、いわゆる「繁盛店」が多いトレタ導入店舗さまをしてこの数字です。現在の飲食業界がいかに新規に依存しているかがよく分かります。
ちなみに、「豚組しゃぶ庵」は肌感としてもかなりリピーターさん獲得に成功しているお店だと思っているのですが、実態を見てみたらそれでも70%が新規だったりします。トレタ導入店舗さんは、ウェブの管理画面から自店における比率を見ることができますので、是非この数字と比較してみてください。


■予約回数と次回来店率(リピート率)およびキャンセル率
次に、新規の方がどうやって常連さんになっていくか、そして常連さんになるとキャンセル率がどう変わるかを調べてみました。

調査に当たっては、「次回予約率(リピート率)」という指標を設定し、同一店舗で来店回数ごとに再来店がどのくらいの確率で発生しているかを集計しています。
その結果がこちら。

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この分析結果からわかるのは・・・

1)来店回数が上がれば上がるほど次回来店率は上昇する
常連度が高ければ高いほどリピートしてくれるっていうことですね。まあ自分に当てはめて考えても当たり前の話ではあります。何度も再訪するということは、それだけそのお店を気に入っているからに他ならないわけですから。

2)次回予約率が大幅に高まっていくのは6回目まで
新規のお客様がもう一度来店してくれる確率は、なんと7.11%にとどまります。つまり、100人の新規さまを獲得しても、7人しか残ってくれないというわけ。
2回目の来店の方だとそれが24.01%に、3回目では39.14%に上昇します。さらに4回目では50.01%と過半数を超えて、6回で62.1%に達するのですが、そこから先の上昇率は緩やかになっていきます。

3)最も次回予約率が高まるのは2回目、3回目
その中で特に次回予約率が大きくアップするのが「2回目来店」「3回目来店」の方です。つまり、飲食店にとって最も注力すべき層は「2回目と3回目の来店の方をしっかりケアして、次回来店につなげる」ことだということがわかります。

4)キャンセル率やNo Show(=無断キャンセルのこと)率と来店回数に相関はなさそう
これはちょっと意外だったのですけれど、キャンセル率やNo Show率と常連度の間には相関関係はなさそうです。まあ、考えてみればキャンセルはお店とお客様の関係性とは無関係に、お客様のスケジュールや都合に起因するものですので、当然と言えば当然なんですけども。


■この調査結果をもとに、どんな施策が考えられるか
いかがでしょう。なんとなく、飲食店をやっている人にとっては納得感があるのではないでしょうか。現場の皮膚感覚に近いですよね。では、このデータから、飲食店としてはどんな打ち手が考えられるでしょうか。

1)ポイントカードを作るなら「3回」と「6回」を重視
飲食店が発行するポイントカードには、よく10回来店とか20回来店でサービスを受けられるようなものが多いと思いますが、そうではなく「3回目」と「6回目」でリワードを受けられるような設定にした方が良さそうです。
まあ、6回も来店していただければ、その方はお店できちんと「常連さま」と認識できるようになっているでしょうから、その時点でポイントカードを卒業というのは、ある意味理にかなっているとも言えますね。

2)初回よりも、2回目・3回目来店のお客様を徹底的にケアしよう
飲食店では比較的「初回来店のお客様をリピーター化する」ことを重視するお店が多いと思いますが、それよりも「2回目・3回目のお客様」にもっと注力した方が良さそうです。
もっとも、2回目のお客様はお店からすると最も認識しづらい方々ですので、そこは何らかの工夫が必要です。(トレタを使えば簡単ですけどね!)

3)常連さんだからといってキャンセルしないわけではない
キャンセルはお店とお客様との関係性と無関係に発生するわけですから、キャンセル率やNo Show率を下げようという施策を実施する場合は、お客様の属性とは切り離して考えて良さそうです。(この辺の分析は次回以降の記事で詳しくご説明する予定です)


ということで、なんとなく感覚としてとしてはわかっていても、データにしてみると新しい発見があるものです。
3回とか6回という短いポイントカードでしたら、「頑張ってたくさん来店してくださいね!」感がかなり軽減できますので、価格帯が高めの業態でも下品にならずに使ってもらえそうな演出だってできそうですし、初回来店よりも2回目来店の人を重視しろというのも、現場の「常識」からすると目から鱗感はあります。

★★★

トレタでは、日々1万件を超える予約データが蓄積し続けています。
そんなデータとかっこさんの解析ノウハウを組み合わせて、これからも飲食店の皆様の役に立つ、そしてお客様のハッピーにも繋がるような情報提供をしていきたいと思いますので、是非お楽しみに。

次回はキャンセルやNo Showの傾向についてご紹介します。