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今年7月1日、トレタは設立3周年を迎えました。
3年前に、たった2人でスタートした小さなベンチャーが、この3年間で50人以上の組織になり、シンガポールに現地法人を設立するまでに大きく成長しました。
トレタにとって、この3年間はどんなものだったのか、そしてこれからどうなって行こうとしているのかーー設立3周年を記念してトレタの中核メンバー4人が顔を合わせて、ざっくばらんに語り合いました。

3回シリーズでお届けする「トレタ3周年記念座談会」、2回目の今回は、トレタの開発マインドについてーー

●出席者
中村 仁 代表取締役(ひとし)
吉田健吾 取締役COO 最高執行責任者(けんごち)
増井雄一郎 CTO 最高技術責任者
上ノ郷谷太一 CDO 最高デザイン責任者 デザイン部部長(ごーや)

 

「働き方をデザインする」を、ぼくらはサービスづくりでやってる

中村 ごーやさんの役職は、この前「CCO(最高クリエイティブ責任者)」から「CDO(最高デザイン責任者)」になりましたよね。これについては、どう感じてますか。

上ノ郷谷 最近、自分のなかで一番モヤモヤしていたのは「UX」が何かの手段みたいな感じでとらえられ過ぎみたいなところなんですよ。僕らはもちろんUX戦略はやってるんですけど、手法みたいなのが先に出てしまうのがすごくいやだなっていうふうに思っていて、だからUXって言葉をあまり社内で使わないようにしています。そのUXとか言わずにそういう取り組みをしているっていうことをちゃんと言うにはどうしたらいいのかなあっていうのをずっと悩んでいたんです。そういう時にひとしさんから「ごーやさんのやってることって、予約にまつわる人たちの働き方のデザインだよね」みたいな話をもらって「あ、まさにそれだわ」って思ったんです。ユーザーを真ん中においていること自体すでに取り組みとしてあるのに、それをうまく会社のメッセージとして伝えていくには、どういうふうに自分が動き回るべきなのかっていうのを最近考えてた時だったので「あ、これだ」っていう感じがしたんですよね。

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中村 toCの場合だと、体験をデザインするみたいな話になるでしょ。で、体験をデザインするっていうのだと、カスタマージャーニーマップを作ってユーザーはどういう体験するんだっけというふうになる。けどtoBはもっとシンプルだよね。「これやりたい」「こういう管理をこうしたい」「これをできるだけ最短でやりたい」「一番こいつがやりたい」って。じゃあどういうふうに業務を作ったらいいのかーーつまりオペレーションの設計そのものだよね。そう考えると、働き方をデザインするみたいなことを、実は僕らはサービスづくりでやってるんだなって思ったんですよね。

上ノ郷谷 新しい機能を追加することひとつとっても、自分たちがこの人たちにどう働いてもらうのがいいのか。そうすると、結果的にお客さまにどういうメリットがあるのかまで考えてやることが大事なんですよね。

中村 そうなんだよね。デザインで余計なボタン1個増やすと、日本中でトレタを利用している導入店さんの手間が1個増えるからね。

上ノ郷谷 それすごく責任を感じますよね。

増井 まあそういう意味ではエンジニアも同じなんですよね。基本的には僕たちはお客さまの問題を技術をもって解決するけど、目的はやっぱり問題の解決。単純にそのプロダクトを作るっていう仕事だけじゃないっていうのは、エンジニア全員が思ってる。

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中村 以前やったことで結構理想に近いアプローチだねと思ったのは、障害への対策。普通のエンジニアの発想だと、アマゾンのサーバーの稼働率が99.999いくつだから、これを超える稼働率は基本的に無理っていう話になっちゃう。で、それを超えるには自社でサーバー持つしかないっていう話になるんだけど、その時にトレタのエンジニアが何をやったかというと「いや、障害発生しているときもオペレーション止めなきゃいいんでしょう」って。システムがダウンしている時でもちゃんとバックアップでPDF見れるように、先にアプリの中に情報を取り込んでおいて、ダウンした時でも見れるようにすれば取りあえず業務止めないじゃんっていうことをするわけじゃないですか。あれってエンジニアからすると、あんまり出てこない発想のひとつじゃないかと思っていて。

増井 そうですね。お客さまの稼働を止めないっていう問題を解決するための方法としてやるなら、それが正しい解決。エンジニアの視点からはちょっと外れますけどね。

中村 でも、言ってみれば究極アマゾンのサーバーの稼働率を超えるサービスを作ることにつながる。


「お客さまのため」という思いが全社にマインドとしてある

増井 僕は面接のときよく「誰のために仕事をするのか」っていう話をするんですよ。たとえばひとしさんに言われたからとか、ひとしさんがほめてくれるからこの仕事をするとか、そういうふうに考える人が出てきがちじゃないですか。でも、本来はやっぱり「お客さまのため」っていうのがある。仮にひとしさんとか僕が「おかしいんじゃない?」って言っても「いや、それはお客さまのためになるんです」ってちゃんと説明できるなら、それは戦うべきだし、そういうことが考えられるような人と一緒に働きたい。

中村 そういう意味ではみんなよくそう思ってやってくれてるよね。

増井 でも反面、効率が悪いんですよ。技術効率とか本来の人間の稼働効率とかを見ると、フルに技術に集中するのに対して、たぶん6割から7割しか稼働できない。どんなに効率上げても。

中村 確かに効率が悪いんだけど、効率が悪いことを丁寧にやるって実は結構大きい競争力になるじゃないですか。効率を求めた会社では絶対できない意思決定ができたりとか、ものづくりができるっていうのが。たとえば効率優先で作っているところが、うちと同じようなクオリティのものを作れるのか、と。そういうことちゃんとできる社風があるから、今みたいなプロダクトができているっていうふうに考えると、効率は下げるけれどもクオリティの担保にはつながっているっていうところがあるよね。

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増井 そうですね。あとはやっぱり、余裕がない組織っていうのは、やっぱり視点は短くなるし、短くなれば上司のために仕事をするし。そこはちゃんと遠くまで見えるっていうのが大事かなと思いますね。

中村 エンジニアがトレタに面接しに来る理由のひとつが効率を上げ過ぎた職場にいて、何のためにやっているのかわからなくなってというの、結構あるもんね。

増井 結構多いですね。

吉田 僕らが何のためにやっているかというと、たぶん一番は飲食店さまの信頼に応えることですね。逆にいうと、その信用を毀損することは、あらゆることのなかで一番やっちゃいけないことだと。

中村 トレタの開発姿勢は、単に何か使いやすいものにしましょうだけではなく、飲食店の人たちの信用とか期待に絶対的に応えるような品質をどう担保するかっていうところにあるよね。

増井 お客さまのためっていうところが、開発を含めて全社にマインドとしてあるのは本当に珍しい。たいていさっき言ったように上司のためにか、プロダクトオーナーのためになるんです。そうじゃないところまでそれぞれが考えているところが面白い。

吉田 ふつうは、上司と部下との間で意見が衝突したとしたら、基本的には部下が折れるしかない。でも、真ん中にお客さまがいるってなると、ぶつかってもお客さまのほうへ行けばいい。利害の対立が折れるしかないって、それ全部ストレスになってるわけで。

中村 そういうところにちゃんとお金をかけている会社かどうかって、すごい大事だと思う。

増井 ふつうは効率を重視しますよね。上に数字で管理された時点で絶対に労働生産性を出さなきゃならなくて。本来は、ある機能をリリースする約束ではなくてお客さまに何を提供するかが大切なのに、計画を立てた時点でどんなに間違っていても機能をリリースすることが優先される。

中村 僕、エンジニアリングの世界がよくわからないからあれなんだけど、もしかするとトレタのやってることとか、やってきたことっていうのはBtoBの会社の中で結構めずらしいんじゃないかと思っているところはあって。たとえばUIの考え方にしても、ちゃんとUIに投資をして作っているし、開発手法はアジャイルだったりスクラムだとかっていいながら信頼性のところをちゃんと担保するやり方も考えながらやってたりとか。

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吉田 UXとかユーザー・センタード・デザインとかみたいなのがありますよね、顧客中心主義みたいな。あれはああいうスローガンをわざわざ唱えないと、ズレていく恐れがあるからかも知れません。僕らの場合は「お客さまのため」とか「飲食店が困ったらダメだよ」っていうのが当たり前すぎて、UXがどうとかって別に言うまでもないんじゃないかと。

増井 それに、アジャイルとかスクラムみたいなやり方も、僕ら別にわざわざやっているわけではなくて、結果としてそうなっているだけの話で。ルールに厳密には従っていないんですよね。

吉田 たぶんトレタオリジナルの開発方針になっている。

上ノ郷谷 トレタって「ひとしさんが欲しかったもの」そのものだから、ユーザーが真ん中にいて当たり前なんですね。だけどそれって人が増えたら薄まっていくんじゃないかなと思っていたんです。それを絶対に薄めないようにしようっていうのが僕のひとつの役割だと思ってやってるんですけど、何か薄まるどころか濃くなっているような。もともとの考えがしっかり根付いているっていうのがやっぱり強くてびっくりします。セールスのメンバーを見ていても、最初の頃を知らない人がいっぱいいるのに、当たり前のようにそういう話をしてる。

吉田 基本的には自分が信用しているものを、自分がいいと思ったものを作ったり売ったりしたいじゃないですか。この前、営業で転職希望の方の面接してた時もそういう話になって。前職で納得いかないものを売ってて、何かもういやだと。ストレスになると。で、自分はもうコレって思うものを売りたい。だから営業したいわけじゃない、トレタを売りたいんですって言うわけです。エンジニアだって喜んでもらうものを作りたいとかって、作ったものが役に立つのがいいに決まってますよね。

第3回に続く)