CTOの増井です。

本日、ハッカソンから有志でこれまで開発してきた企業向け受付サービス「→Kitayon(キタヨン)」(以下、キタヨン)が、ディライテッド株式会社から「RECEPTIONIST」というサービスとして正式にリリースされました。
以前、記事にも取り上げていただきましたが、私たちは一昨年冬、チーム「風呂グラマーズ」を結成しTechCrunch Tokyo Hackathon 2015に出場、「キタヨン」を作り優秀賞を頂きました。私たちはそのキタヨンをディライテッド株式会社に譲渡し、キタヨンを元に「RECEPTIONIST」という受付アプリが開発され、本日公開されました。

ハッカソンから生まれたプロダクトがこうして新しいスタートアップに引き継がれ、商用サービスとして世に出るというのはまさに画期的なことであり、開発チームとしても非常に嬉しく思います。
また、キタヨンを気にかけてくださった方々へ、リリースが遅れご迷惑をお掛けしたことをこの場を借りてお詫び申し上げます。 
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なぜキタヨンを作ったのか


キタヨンは初め、トレタ社内の受付ツールとして企画されました。新しいオフィスに移転はしたものの、使いやすくカッコいい受付アプリが見つからず、「だったら自分たちで作るか」「そういえば受付ツールはみんな困っているので、だったらきちんとしたものを作れば、有料で使ってくれる会社も多いのでは」と考えたのがきっかけです。とはいえ、新しいアプリを私一人で作るのは大変です。 そんなときに、TechCrunch Tokyo Hackathonが開催されると聞き、「これに参加したら一気に作れるのでは?」と思いつきました。早速Facebookで仲間を募り、数人に声を掛け、私以外トレタ社外のメンバーで「風呂グラマーズ」を結成し、オフィス受付iPadアプリのキタヨンを作る事が決まりました。

ハッカソンまで2週間ほどの間、「キタヨン会議」と称して数回トレタのオフィスに集まり、商品企画を立て役割分担などを行いました。このハッカソンのテーマが「TechCrunchに掲載されるレベルのアプリ・サービスを作る」だったことも、トレタだけじゃなく広く使ってもらえるサービスを作ろう!というチームのモチベーションに繋がったと思います。

ハッカソン当日は作業に集中し会場に泊まり込み、デモ程度のものが動くところまで無事完成し、優秀賞を頂くことができました。 もちろん、私たちは最初からハッカソンのためだけではなく、実際にトレタや他の企業でも使ってもらうために作ったので拡張性などしっかり考慮しています。 ハッカソンだから適当でいいや、ということは全くなく、チームとしては商用になるクオリティを目指し、コードのみならずPRなども重視しWebサイトも当日に作成、プレゼン用に顔ハメまで作っちゃいました。
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ハッカソンのその後


とはいえ、一泊二日のハッカソンだけでは実用になるレベルまでは作り込めていません。後日、仕切り直しをして開発は継続しました。 オンラインでの作業以外に定期的に「キタヨン会議」を開催したり、温泉合宿を行ったり、それぞれが新しいライブラリや手法などを積極的に取り入れて楽しく難しく開発は進んでいきました。

私の技術担当はインフラだったので、Dockerを用いた開発、プロダクション環境の構築やCI環境の構築を行っていました。Dockerの実行環境にAmazon ECSを選んでいたので合わせてツール類も自作しました。
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リリースをどうする?


ところが開発が進むにつれて一つの問題が見えてきました。キタヨンをどうやってリリースし運用するかです。 トレタだけで使うのなら私が運用すればいいのですが、当初の目論見通り多くの企業に使ってもらえるようなサービスにするには、それでは全く不十分です。サービスの継続開発や運用だけでなく、営業や管理業務も必要になるでしょう。 私たちには以下の4つの道が考えられました。

1.  個人的に無料のサービスとしてリリース
2.  キタヨンを法人化してリリース
3.  トレタとしてキタヨンをリリース
4.  オープンソースとしてリリース

どれもコストや体制、リソースなどで一長一短があります。受付サービスは事業としては大きな可能性はあるものの、現在のトレタは本業である予約台帳サービスに全力投球すべき時期であることは明らかですから、私個人としても会社としても、2や3の選択肢は考えられません。とはいえ1も無理。キタヨンをどう着陸させるか悩んでいたのですが、縁があり意外な方向から解決することになりました。
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ディライテッド社との出会い


リリース方法で悩んでいる頃、トレタCOOの吉田がB Dash Campにてディライテッドの橋本さんと出会い、「受付サービスで会社を設立した」という話を聞きました。そして橋本さんと中村(トレタ代表)の間で「キタヨンをベースに事業を始める道があるのでは」という話になったのです。 なんという偶然でしょう。翌日中村からその話を聞き、その方向を模索しようとなり、橋本さんや他のメンバーの方とも議論を重ねキタヨンのソースコードと権利をトレタを通じて譲渡するという形が一番プロダクトのためになりそうだということでまとまりました。

幸い、本格的なリリースに向けて、テストコードやドキュメントなども整備しており、そのまま引き継いで貰える環境が整っていました。

こうして、開発体制やリリース方法が決まらず数ヶ月放置状態となってしまっていたキタヨンがついに動き始めました。ソースを譲渡したあと、私たちの手を離れ、数ヶ月に渡ってRECEPTIONISTの開発が行われましたが、私たちが作ったモノから足りない部分などを大きく補ってもらい、キタヨンから大きく進化した全く新しいアプリとして生まれ変わっていると思います。

キタヨンで得たモノ


ハッカソンで作り始めたプロダクトが、このような形で評価され、多くの人が触れるアプリの礎になれた事はチームとして非常に嬉しい限りです。

キタヨンを作ったことで、新しい技術を試しながらワイワイと自分たちの手の範囲でサービスを作るという楽しい経験をし、譲渡益も出て、この後全員で温泉に打ち上げにも行けることになりました。(増井は譲渡益は貰わず他のメンバーで受け取ってもらいました)

トレタはサービスとしてもすでにそれなりに成長し、それなりの影響力も持つようになりました。そういう「大きなアプリ」を通じて多くの人の仕事を便利にするような仕事も楽しいのですが、小さなチームで好き勝手なモノを作るというのもまた違った楽しみがありました。

私はハッカソンの審査員をする事が多く、「これはおもしろい!」とか「私も欲しい」と思う作品も多く見かけます。 しかし、ハッカソン終了後も継続して開発しリリースまでこぎ着けるというケースは多くありません。 「せっかく良いアプリなのに」と思う事が多かったのですが、実際にリリースするには開発・運用体制やコストの問題が出てきてしまいます。 ハッカソンから起業というのはかなり大きな道のりですし、個人で安定運用は非常に負担が大きいです。

そんな中、今回私たちが実現した「譲渡によるサービスリリース」という形は、今後のハッカソンにおけるエグジット方法として一定の価値を持つのではないかと思っています。ハッカソンの活用方法としてキタヨンが参考になってくれたら嬉しいなと思っています。
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最後に


個人的な動機から作り始めたキタヨンに貴重な時間と労力を割いてくれた、金田さん、廣部さん、濱邉さん、長田さん、小島さん。キタヨンを見つけ評価してくださったディライテッド社の橋本さん、メンバーの方々。ハッカソンという機会と発表する場所を与えてくださったTechCrunchさん、キタヨンの譲渡に多くの時間を割いてくれたトレタの方々、キタヨンのβテストに申し込んでくださった方々、その他、日々色々な面で支えてくださっている方々にこの場を借りてお礼させて頂きたいと思います。本当にありがとうございました。

風呂グラマーズの活動は一度これにて休止しますが、CTOとして、トレタは今後もこういう個人活動を積極的に応援していく会社にしたいと思っています。個人では実現できないことを会社を使って実現するというのも、組織でやることの楽しさです。私もまた面白い事を企んで行きたいと思っていますので引き続きよろしくお願いします。

トレタではエンジニアを募集しています


トレタではハッカソンなどに出るぐらいコードを書くのが好きというエンジニアを強く募集しています。 iOSやRuby on Rails、AngularJSなどで一緒に人の役に立つアプリを作ってみたいという方がいましたら、下記のページからご連絡頂けると幸いです。

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