Bonjour! セールスのアンドレこと安藤です。

同じチームの尊敬する先輩、オペレーションアドバイザー鈴木の熱い指導により我もブログなるものを書いてみんとす、と筆を取ったはいいのですが、諸事情により暴飲暴食を控えねばならない身になってしまって美味しそうなもので対抗できない、とがっくり。

ということで、ここはほのぼの、食べることそのもの以外で「美味しい」を体験する作品のご紹介を、シリーズでお届けしてまいります。寒い日、引きこもりのお供を探している方のお役に立てましたらば。



この作品には前作の『タルト・タタンの夢』がありますので、もちろんそちらから読むのが正解だとは思います。が、個人的には最近やっと読んだこちらの、シリーズ2作目の方が美味しさが増していたので、今、冬の、この時期に、ぜひともお読みいただきたいです。

舞台は下町の「ビストロ・パ・マル」、お客様の持ち込む謎を名探偵・三舟シェフが解決。ヒントはいつも美味しい料理の中にあり。

パ・マルは”pas mal”、英語で言うところの”not bad” なので、お店の名前を日本語にすると「悪かないね亭」みたいなものでしょうか。ちょっと不愛想なシェフの洒落っ気が見えるネーミングです。

さてタイトルに入っているヴァン・ショーは”vin chaud”、そのままの語順だと”wine hot”、つまりホットワインです。全くもって余談ですが、以前にパリのパン屋さんでキッシュを買ったらおばさまが片言しかできない私のために電子レンジを指差して”Chaud?” と聞いてくれたのは何とも優しかった。お言葉に甘えてキッシュをふわっふわに温めてもらって、公園で食べたのは良き思い出。油がぎとっと滲み出てきちゃうのもご愛嬌。

この本の中で出てくるのは、名物おばあちゃんが売る、香りから他とは別格のヴァン・ショー。甘くて濃密な香りを想像するだけで、心惹かれます。むわっとむせかえるような、アルコールとスパイスの香り。一口すすった時に広がる熱と、酸味のアクセント、喉へのほどよい刺激。飲みたい。飲みたいでしょう?

おばあちゃん秘伝のレシピが封印されたと知って、飲んだことのない私が悲しい。もう全世界が悲しい。なんなら、飲んだことがあるような気になっているし、もう毎年ファンで冬に飲みに来ているんですけど、と封印に対して抗議をする気でいる。

作品を通して食の魅力が伝わってくるのはもちろんですが、読んでいるとすっかり、その料理に対して私は一家言持ってますけど何か?はるか昔から好きですけど何か?という気持ちの入りよう。騙されたと思って、読んでみてください。

本作品の中で一番に私が食べたいのが、トリュフ入りのオムレツ。何度通っても三舟シェフが真似できないという絶品。卵というデリケートな素材を扱うにおいて、それはそのお店のシェフの、まさに職人技のなせる芸術。あぁ、それを食べたらきっと明日のお昼ぐらいまでは、鼻腔にトリュフの香り。朝起きてもトリュフの余韻。水を飲んでもトリュフ。舌に残る卵の柔らかな食感。歯磨きしたくない。

読み終わった後に湧き上がる食欲で、引きこもりを完遂できなかったとしても、あしからず。

それでは皆さま、au revoir!