こんにちは。セールスのアンドレです。

いつからでしょう、常々「料理のできる男と結婚したい」と言い続けております。映画『ブロークン・イングリッシュ』を観てからは、どんなに怪しげで何をしているかよく分からない男でも、それがメルヴィル・プポー(フランスのイケメン俳優です)だったら何が何でも…と宣言してきました。

このたび紹介する小説の主人公、ユリエこと「ネコさん」は、素晴らしく料理のうまい男を雪の日に拾ってそのまま同居させてしまった、ラッキーな方。同居人の「ミケさん」は、がっつり胃袋を掴んでくる上に、なんと家賃をちゃんと半分払ってくれるという素晴らしき男。仕事は何をしているかも分からない、時には数日帰ってこないこともある、しかしともかく日々作ってくれる料理にしっかりと手をかけ、食べる人を幸せにしてくれる。その上、切れ者。



ミケさんの作る料理はどれも美味しそうなのですが、私にとっては謎食感のフリットとラーメンが、特に気になる……それから、梅酒。寝かせた方がいいと分かっているのに、ユリエの部屋へ集まる面々によって早々に片付けられてしまうという、魅惑の梅酒。ミケさんを貸して欲しい、という女性が現れるのも仕方ないです。私だってミケさん貸して欲しいし、何ならそのまま自分のとこで飼いますよ。

さてミケさん、切れ者と書きましたがなかなかの名探偵です。と聞くと、日常に潜む愉快な謎解きものかなぁと思われるかもしれません。私も読み始めは、そう思っていました。ところがどっこい、読み進めると突然に視点が変わったりと様子がおかしい……読後感は爽やかですが、苦味も酸味もある、そんな作品です。

自分がユリエだったら、全てを知った上でミケさんを愛せるだろうか。知らないからこそ、身分不詳のメルヴィル・プポーだってフランスまで追いかけられるというもの。追いかけて捕まえたメルヴィル・プポーがイケメンな上に毎日美味しい料理を作ってくれる理想の同居人になってくれたとしても、実はとんでもない極悪人だったらどうしよう、と、かなりの直感人間である私がしっぽりと考えてしまうのでした。ここで白状すると私、相手の秘密を知ってしまった途端に最後通牒を叩きつけた経歴を持っています。ミケさんを捕まえておけるような人間じゃ……ないのかも。あぁ、理想のパートナー探しの道程は長い。まずは誰か、早く私の胃袋を掴んでくれ。

これ以上はネタバレになるので、お腹を空かせ、ちょっとビターな展開に備えて心を慰める甘い梅酒を用意しつつ、どうぞ読んでみてくださいませ。謎食感フリットの秘密も、お楽しみに。